「みんなが並んでいるのに、うちの子だけ走り回ってしまう」「園の先生から、集団行動が苦手みたいで…と言われた」——子どもの集団行動が気になって、不安になっている保護者の方は少なくありません。でも、子どもが集団行動を苦手とすることには、ちゃんと理由があります。この記事では、子どもが集団行動できない・苦手な背景を発達の視点から整理し、家庭でできる関わり方、そして専門的なサポートについてお伝えします。
「集団行動ができない」って、うちだけ?
アイさん
この間、幼稚園の先生に「ノネちゃん、みんなと一緒に並ぶのが難しいみたいで」って言われちゃって。ぶっちゃけ、どうしたらいいのかわからなくて。
ノネちゃん
ノネね、お外に出たくて走りたかったんだもん。なんで並ばないといけないの?
アイさん
え、そうなの!?ノネなりの理由があったんだ……。でも、みんなはちゃんと並べてるじゃん?
ノネちゃん
だって、みんなは「ならぶとたのしいことがある」ってわかってるんじゃないの?ノネはまだわかんなかったんだもん。
このやりとり、思い当たる方も多いのではないでしょうか。じつは、子どもが集団行動を苦手に感じるのは、わがままや育て方の問題ではなく、発達の段階や、その子の感じ方・理解の仕方の違いからきていることがほとんどです。
なぜ子どもは集団行動が苦手になるの? 発達の視点から解説
子どもが集団行動を難しいと感じる理由は、大きく3つに分けることができます。
① 発達段階によるもの
0〜3歳の子どもは、そもそも集団行動自体が難しい時期です。3〜4歳ごろから少しずつ友だちと関わる力が育ち始め、5歳前後になると「みんなで一緒にやると楽しい」という感覚が芽生えてきます。
つまり、集団行動が苦手かどうかは、年齢・発達段階と照らし合わせて考えることが大切です。「同い年の子ができているのに」という比較ではなく、その子自身の成長のペースを見ることが出発点になります。
② 感覚の処理が独特なケース(感覚統合のつまずき)
「感覚統合」とは、視覚・聴覚・触覚・固有覚(体の動きの感覚)・前庭覚(バランス感覚)などの感覚情報を脳が整理して、行動に結びつける働きのことです。
感覚統合がうまくいっていない場合、集団の中の音や動きに過剰に反応してしまったり、逆に刺激が足りずじっとしていられなかったりすることがあります。みんなが平気な体育の時間や給食の場が、その子にとっては「しんどい場所」になっていることもあるのです。
これは意志でコントロールできるものではなく、脳の感覚処理の個人差として理解することが重要です。
③ 場のルールや見通しの理解が難しいケース
「なぜ並ばないといけないのか」「次に何が起きるのか」が見えにくいと、集団の流れに乗ることが難しくなります。視覚的なスケジュールや短い言葉での事前予告など、「見通し」を持てる工夫が大きく助けになることがあります。
家庭でできる関わり方——子どもの「苦手」に寄り添うヒント
アイさん
なるほど〜。じゃあ、わたしが家でできることって何かある?
ノネちゃん
ノネね、「次は何するの?」って教えてくれると、ちゃんとできるんだよ!
アイさん
え、そんなことで変わるの!?もっと早く聞いておけばよかった……!
家庭でできる関わり方をいくつか紹介します。無理に「できるようにさせる」ことよりも、子どもが安心して挑戦できる土台を作ることを意識してみてください。
- 見通しを伝える:「ご飯食べたら、お外で遊ぼうね」など、次の活動を事前に短く伝えるだけで、子どもの安心感が大きく変わります。
- 少人数から慣らす:いきなり大きな集団ではなく、1〜2人の友だちとの遊びから始めると、集団への苦手意識が和らぐことがあります。
- 感情を否定しない:「なんで並べないの!」ではなく、「走りたかったんだね」とまず気持ちを受け取ることで、子どもは「わかってもらえた」と感じ、次第に話を聞く余裕が生まれます。
- できたことを小さく認める:完全にできなくても「最初の3分、並べたね!」という声かけが自信につながります。
- 感覚遊びを取り入れる:ブランコ、砂遊び、粘土遊びなど、体の感覚を使った遊びが感覚統合の発達を促すとされています(日本感覚統合学会)。
専門的な支援が力になるとき——保育所等訪問支援とは
家庭での工夫を続けながらも、「やっぱり園でうまくいかない」「もう少し専門的なサポートを受けたい」と感じたとき、保育所等訪問支援という選択肢があります。
保育所等訪問支援とは、児童福祉法に基づく障害福祉サービス(第6条の2の2)で、作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)などの専門家が、子どもが通っている保育園・幼稚園・小学校などを直接訪問し、その場での支援を行うものです。
厚生労働省の手引書によると、このサービスの目的は「保育所等での生活のしづらさや集団不適応に対して、本人の特性と環境面の両方から支援すること」とされています。問題が起きてからだけでなく、特性に応じた配慮がなければ困難が生じうる子どもも対象になります。
また、インクルーシブ教育の観点からも、すべての子どもがその子に合った形で集団の中で学べるよう、合理的配慮(障害者差別解消法)を環境側に求めるアプローチが広がっています。支援は子どもを「直す」ためではなく、子どもが生きやすい環境を整えるためのものです。
アイノネ(保育所等訪問支援)のご紹介
アイさん
え、専門家が園まで来てくれるの?それって、すごく心強くない?
ノネちゃん
ノネのことを、先生みたいに見てくれる人がいるんだね!
アイノネは、千葉県柏市を拠点とする保育所等訪問支援事業所です。作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの専門スタッフが、お子さまが通っている保育園・幼稚園・小学校などを訪問し、集団の場での関わり方や環境整備を一緒に考えます。
「集団行動が苦手みたいだけど、何から相談すればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。相談支援事業所アスト(同じく柏市)でも無料でご相談をお受けしています。LINEからもお気軽にお問い合わせください。
まとめ——「苦手」は個性のひとつ。一緒に考えましょう
アイさん
なんか、ノネのこと、もっとちゃんとわかってあげたいなって思った。「なんでできないの」じゃなくて、「どうしたら楽しくできるかな」って一緒に考えてあげたい。
ノネちゃん
アイさん、ノネのこと、わかってくれてありがとう!ノネ、がんばれる気がする!
子どもが集団行動を苦手とするのは、その子なりの理由があります。発達段階のこと、感覚の処理の仕方のこと、見通しの持ちにくさのこと——どれも、責める理由ではなく、理解して寄り添うためのヒントです。
「うちの子だけ」と思い悩まず、まずは「なぜ苦手なのかな」と一緒に考えてみてください。そして、もし専門的なサポートが必要と感じたときは、アイノネや相談支援事業所アストにお声がけください。お子さまの「集団の中での居心地の良さ」を、一緒に探していきましょう。